おとり効果
おとり効果は、顧客の心理を利用して特定の商品やサービスを購入させるためのマーケティング手法です。これは、顧客に特定の商品を選択させるために、その際に他の選択肢を用意して影響を与える方法です。
例えば、「松・竹・梅」という価格設定は、おとり効果を利用したものとして有名です。最も高価な「松」に比べて、少し安い「竹」や「梅」が用意されることで、「松」が最も高価である印象を与え、顧客がそちらを選びやすくなります。
このように、おとり効果を利用することで、顧客の関心を特定の商品やサービスに向けさせることができます。マーケティング戦略として有効な手法であり、行動経済学的な観点からも理解されています。
顧客に選ばれない選択肢を引き合いに出し、顧客の意思決定を変化させる効果
おとり効果は、消費者の意思決定を操作するための効果であり、見劣りする選択肢を意図的に用意することで、別の選択肢を選ばせるように誘導する手法です。つまり、顧客に特定の商品やサービスを選ばせるために、他の選択肢を設定することで、顧客の意思決定に変化をもたらすということです。
例えば、広告のビジュアルを提案する際に、本命のA案と、A案と同じ品質ではあるが発注元の意向を少しはずしたB案、さらに明らかに低品質な広告C案を用意します。このとき、C案がおとりの役割を果たし、顧客がB案やA案を選びやすくなります。C案があることで、A案やB案がより魅力的に見え、顧客がそれらを選びやすくなるわけです。
このように、おとり効果は、事業者が顧客に対して特定の商品やサービスを選んでもらうための戦略の一つとして利用されます。ただし、選択肢の設定や実施方法には注意が必要であり、消費者を欺くような方法は避けるべきです。また、倫理的な観点からも慎重な取り扱いが求められます。
おとり効果によるマーケティング施策
おとり効果をマーケティングに活用することで、顧客に特定の商品を選んでもらいやすくし、売上を伸ばすことができます。例えば、飲食店では販売したい価格帯の商品を中間に設定すると効果的です。600円の商品を売りたい場合、低品質の300円とプレミアムな900円の商品を用意すると、600円の商品がもっとも売り上げを伸ばします。新規の顧客は特に中間の商品を選ぶ傾向があり、安すぎる商品や高すぎる商品を購入することをためらう傾向があるためです。
この戦略は、飲食店だけでなく、他の業種や店舗でも応用できます。例えば、店舗でのイベント企画においても、おとり効果を活用することができます。売り手がするべきは、顧客に選んでほしい商品を最も引き立てるおとりの選択肢を増やすことです。顧客が中間を選ぶ心理を利用した戦略を組み立てれば、顧客が自然と対象の商品を選ぶ流れを作り出すことができます。
おとり効果を活用したマーケティング施策、5つのポイント
実際におとり効果をマーケティングに取り入れる際には、ただ単に選択肢を増やすだけでは効果が出ないことがあります。おとり効果を効果的に利用するためには、いくつかのポイントに注意する必要があります。
一番売りたい主力商品を設定する
おとり効果を使う場合、最初に何を達成したいのかを明確にすることが大切です。つまり、目標をはっきりさせることが必要です。なぜなら、おとり効果は特定の商品やサービスを他のものよりも選びやすくする効果があるからです。しかし、その目標がはっきりしていなければ、おとり効果を十分に発揮することができません。
例えば、ある商品の売り上げを増やしたいと考えている場合、その商品をおとりにして他の商品と比較して魅力的に見せることが有効です。しかし、ただ選択肢を増やして価格帯を調整するだけでは、望む結果が得られないことがあります。なぜなら、おとり効果を使うことで、特定の顧客層に商品を買ってもらうことができるからです。
そのためには、おとり効果の意図を理解し、明確な目標を設定して、それに合った戦略を立てることが大切です。その戦略をしっかりと実行することで、顧客に選んでもらいたい商品をアピールし、売り上げを最大化することができます。
選択肢の数は適度に絞る
選択肢が多すぎると、顧客は決定を避ける傾向があります。これは、「決定回避の法則」と呼ばれる心理現象が働いているからです。例えば、プランやオプションが多い場合、考慮すべきことが増え、脳がその中から最適な判断をするための負担が大きくなります。その結果、顧客は決定を先延ばしにしたり、選択を保留したりする傾向が強まります。
心理学の観点から見ると、人間の脳は適切な情報処理をするために、選択肢を絞り込むことが求められます。そのため、顧客が比較しやすく、意思決定をしやすい選択肢の数は3~5つが最適とされています。適度な数で選択肢を絞ることで、顧客のストレスを軽減し、意思決定の負担を減らすことができます。
したがって、マーケティング戦略を立案する際には、選択肢を適切な数に絞ることが重要です。顧客がストレスなく比較しやすい状況を作り出すことで、購買意欲を高めることができます。
商品・サービスの価格設定を適切に行う
選択肢を設定する際には、「松・竹・梅」という価格設定が有効だとされています。これは、5:3:2の割合で価格を設定し、中間の価格を目標とする商品を選ばせやすくする方法です。
この戦略の背後にある心理は、「極端の回避性」と呼ばれます。顧客は損をしないように中間の選択肢を選ぶ傾向があります。つまり、高すぎる商品や安すぎる商品を避け、中間の価格帯の商品を選ぶという心理です。
この心理を活用するためには、3つ以上の選択肢を用意し、その中で中間の価格を設定することが重要です。このようにすることで、顧客が中間の商品を選びやすくなり、目標の売上を伸ばすことができます。これが、おとり効果を最大限活用するための重要なポイントとなります。
商品・サービスの内容の違いをシンプルにする
顧客が多くの選択肢から商品を選ぶ際、価格や内容がバラバラだと、選択する際にストレスを感じることがあります。ですので、価格だけで比較できるように、内容はシンプルにした選択肢にすると、おとり効果がより発揮されます。
例えば、3つの選択肢を用意する場合、下位の要素を含めることが一番効果的で実行しやすくなります。具体的には、「とんかつ単品」「とんかつ定食」「ドリンク付きとんかつ定食」のようなラインナップを考えることができます。このようにすると、価格の比較がしやすくなり、顧客が対象商品を選びやすくなります。
さらに、顧客層を把握し、どのような選択肢に関心を持つかを考慮すると、よりよい選択肢を設定できます。顧客のニーズや好みに合わせた選択肢を提供することで、より効果的におとり効果を活用することができます。
商品・サービスの価格に見合った質を保証・提供する
顧客の多くは、何かを選択する際に損をしたくないという心理が働きます。そのため、おとり効果を活用して利益を追求しすぎると、顧客にとってのブランドイメージが悪化してしまう可能性があります。
おとり効果を過度に利用すると、顧客が想定する無意識の行動を逆手に取りすぎてしまい、騙されたと感じる可能性があります。このような印象は顧客にとって信頼を損なうことにつながりますので、活用する際には慎重に注意が必要です。
おとり効果を活用する際には、商品に見合った最適な価格と品質を提供することが重要です。顧客が商品を購入した後も満足してもらえるよう、価値のある商品を提供することが大切です。そのような商品提供を通じて、顧客の信頼を築き上げることができます。
おとり効果とアンカリング効果の相乗効果
アンカリング効果とは、最初に提示された価格が意思決定に影響を与える効果のことを指します。つまり、最初に高額な価格を提示されると、その後の価格に対する判断が影響を受け、高額な価格を提示された商品に魅力を感じるようになります。この効果を利用することで、値引きされた商品の価格が安くなかったとしても、購買意欲が高まることが期待されます。
一方、おとり効果は、選択肢の中で一番高い商品を先に提示することで、それよりも価格が低い他の選択肢に魅力を感じるようになる心理効果です。この効果を利用することで、顧客が本来購入してほしい商品を選びやすくなります。
価格設定や提示の手順など、おとり効果とアンカリング効果を組み合わせることで、顧客の購買意欲をさらに高め、売上を伸ばすことができます。ただし、適切な組み合わせと戦略が重要であり、顧客の信頼を損なわないよう注意が必要です。
おとり効果を活用するには商品の準備が大切
おとり効果は、顧客がストレスなく意思決定をしやすい選択肢があるときに初めて機能します。顧客は自分が損をしない選択をしたいと考えるため、この心理を利用して、一番売りたい商品の価格やスペックが中間となるような商品ラインナップを準備することが重要です。
顧客が選択する際に重要なのは、自分のニーズや予算に合った商品を選ぶことです。そのため、選択肢を提供する際には、顧客がストレスなく比較しやすいように工夫することが求められます。一番売りたい商品の価格やスペックが中間となるようなラインナップを用意することで、顧客が自然とその商品を選びやすくなります。
さらに、ターゲット層が好む商品やサービスについての理解も重要です。顧客がどのようなニーズや好みを持っているかを把握し、それに合った選択肢を提供することで、より高い効果が得られるでしょう。
